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サステナブルツーリズム対応|旅行会社が今できる実装

サステナブルツーリズム対応|旅行会社が今できる実装

旅行会社が今日から着手できる最短の実装は、観光庁の「JSTS-D指標理解研修」動画を担当者に受講させ、確認テストに合格して合格証を取ることです。 研修本体は全33動画、公式表記の所要時間を単純に合算すると471分(約8時間)、オンラインで常時受講でき、受講料の設定はありません。テスト結果は受講後およそ2週間以内にメールで届き、合格すると合格証が、不合格だと再試験用URLが送られてきます。

ただし、その先の「JSTS-Dロゴマーク」を旅行会社が単独で取ることはできません。 民間事業者が申請する場合は、一体となって取り組む地方公共団体等の観光計画等と、その自治体等の確認・同意書(別記第4号様式)の提出が必須です。2026年9月24日時点の取得一覧は最終番号148まで並び、そのうち34行に Green Destinations または Best Tourism Villages の併記があります。

そして指標の総量は、着手前に知っておいたほうがいい規模です。 JSTS-D は地域のマネジメント・社会経済・文化・環境の4分野、47の大項目と113の小項目で構成されています。旅行会社がこれを全部背負う制度ではありません。

旅行会社にとってJSTS-Dは「取れる認証」なのか?

結論は「地域向けの指標であり、旅行会社の単独認証ではない」です。 観光庁は研修ページに「本ガイドラインおよび研修は地域向けに作成したものですが、観光に携わる事業者や学生の方等におかれても、幅広く参考になるものです」と明記しています。

一方で、ロゴマークの申請者には民間事業者も入っています。承諾基準の原文はこうです。

地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会、地方公共団体を構成員に含む協議会、ガイドラインに基づく地域の取組において中心的な役割を担っている民間事業者等

つまり「民間だから無理」ではなく、「地域の取組で中心的な役割を担っていることを自治体に証明してもらえるなら可」という条件付きです。 実際、2026年9月24日時点の一覧には株式会社形態の事業者名が7行現れます——株式会社karch(北海道・2025年9月)、大雪山ツアーズ株式会社(北海道・2026年5月)、釜石市との連名での株式会社かまいしDMC(岩手県・2021年4月)、勝山市観光まちづくり株式会社(福井県・2025年9月)、甲府観光開発株式会社(山梨県・2026年6月)、株式会社南信州観光公社(長野県・2025年12月)、株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション(7県広域・2025年5月)。

ただしこの7行のうちどこが旅行業登録を持つ会社なのかは、一覧に書かれていません。 「旅行会社が7社取得済み」と読むのは踏み込みすぎです。読み取れるのは「民間企業名義での承諾は現に存在する」というところまでです。

対応レベルは4通りある。どれを選ぶべきか?

着手から取得までの距離と、自治体の同意が要るかどうかで、実質4通路に分かれます。

対応レベル 着手から取得までの距離 費用 自治体の確認・同意 向いている会社
① 観光庁JSTS-D研修動画+確認テスト 約8時間の受講+結果通知約2週間 受講料の設定なし 不要 全社。社内の共通言語を先に作りたい会社
② JSTS-D 基本ロゴマーク 観光計画への明記が前提。提出は承諾希望日の2週間前まで 使用承諾手数料の公示は見つからない 必須(別記第4号様式) すでに特定の自治体・DMOと継続案件がある会社
③ JSTS-D 国際認証版ロゴマーク ②+Green Destinations/Best Tourism Villages の取得が前提 国際審査側の費用(未確認) 必須 国際認証を持つ地域と組んでいる会社
④ 認証を取らず手配オペレーションに実装 当日から 既存の手配コスト内 不要 認証の看板より現場の再現性が先の会社

①と②のあいだには、書類の壁ではなく時間の壁があります。 ②の提出期限は「承諾を受けようとする日の2週間前まで」ですが、その前提として自治体の観光計画に JSTS-D に基づく取組が明記されている必要があります。明記がない場合は、次期計画等に明記する旨の確認/誓約書(別記第3号様式)と、現在実施している取組の内容を確認できる書類で代替できます。計画改定のサイクルに乗る話なので、2週間で動くのは最後の事務手続きだけです。

③を自力で取りに行く通路は、実質ありません。 国際認証版の要件は Green Destinations の GSTC認証・プラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズ・Top100選のいずれかの表彰、または UN Tourism の Best Tourism Villages の認証で、いずれも地域(デスティネーション)を審査する制度です。旅行会社が単体で申請して取るものではなく、組む地域が持っているかどうかで決まります。

ロゴマークを取ると、実際に何が変わるのか?

承諾基準の資料が挙げているメリットは3つで、3つ目だけが金額に直結します。

  • 地域の内外への明示——持続可能な観光地域づくりに取り組んでいることを示せる
  • ブランディング・国際競争力——JNTO を通じたプロモーション等
  • 観光庁の関連事業での補助率加算・採択審査での加点

3つ目の例示がそのまま書かれています。補助率加算では「R7オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」で補助率が1/2から2/3へ、採択審査時の加点では「R7持続可能な観光推進モデル事業」等。

ここは「場合があります」という条件付きの記載であり、かつ令和7年度の事業名です。 年度ごとに事業は組み替わるので、提案書に補助率を書く段階では当該年度の公募要領を必ず開き直してください。それでも押さえておく価値があるのは、加点対象として名前が挙がっているのがオーバーツーリズム系の事業だという点です。分散送客の提案とロゴマークは、同じ補助金の上で接続します。

取ったあとに毎年やることは?——維持コストのほうが重い

承諾は取りっぱなしにできません。報告義務は3系統あり、どれも不履行が取消事由に対応しています。

報告・提出のタイミング 出すもの 出さないと
毎年度末まで(毎年) ガイドラインに基づく取組の状況(アセスメントレポート等) 年度末までに取組結果が提出されない場合、使用承諾の取消しがあり得る
観光計画等に変更・改定があったとき 速やかに最新の観光計画等 速やかに提出されない場合、または最新計画にガイドラインに基づく取組の明記がない場合、取消しがあり得る
担当職員が人事異動・退職等で変わったとき 速やかに報告のうえ、変更日から1年以内に新担当職員の修了証または合格証の写し 変更日から1年以内に提出されない場合、取消しがあり得る

実務で一番効くのは3行目です。 承諾基準(2)は「申請者の現役担当職員」が研修を修了・合格していることを求めています。つまり研修合格は会社に付くのではなく、その人に付いて、その人の在籍に依存します。研修を1人にしか受けさせていない会社は、その1人が抜けた日から1年のカウントダウンが始まります。

対策は単純で、受講を1人に寄せないことです。 ①の研修は受講料の設定がなくオンラインで常時受講できるので、担当者と後任候補の2名以上で合格証を持っておけば、この取消リスクはほぼ消えます。費用で止まる話ではなく、工数を誰に割り当てるかだけの話です。

このほか、取消事由としては①申請内容の虚偽、②ガイドラインの趣旨に著しく反する行為、③観光庁の調査拒否または是正勧告への不服従が明示されています。

認証を取らなくても、今日から手配に入れられる項目はどれか?

47の大項目のうち、自治体の計画を待たずに手配会社側の裁量で動かせるものがあります。 以下は研修の指標理解パート(全22動画)で解説対象になっている項目コードから、手配実務で直接動かせるものを編集判断で抜き出したものです。観光庁がこの分類をしているわけではありません。

  • C6 文化遺産における旅行者の管理/C7 旅行者のふるまい——拝観・入館の人数分割、立入禁止区域の事前ブリーフィング、撮影可否の行程表への事前明記。ガイド手配の指示書に落とせます。
  • D2 自然遺産における旅行者の管理/D3 旅行者のふるまい——自然エリアでの1団体あたり上限人数、ルート外への立入禁止、ゴミの持ち帰り指示。
  • D7 省エネルギー/D11 廃棄物——車両の配車設計(空回送を減らす)、食事手配での食数確定タイミングの前倒し、連泊時のリネン交換頻度の事前合意。
  • B3 地域事業者の支援と公正な取引——支払条件と手数料の明文化。どこに何%落ちるかを曖昧にしないこと自体が、この項目の中身です。
  • B8 多様な受入環境整備——食事制限・移動制約の受付フォーマット化。
  • A15 危機管理——緊急連絡体制と代替行程の事前用意。

この6系統は、認証の有無と無関係に見積書と指示書で表現できます。 逆に言えば、ロゴマークを取らないと「サステナブル対応をしていない」ことになる制度ではありません。 欧州系の送客元から基準への適合を問われた場合も、聞かれているのは多くの場合ロゴではなく、上の各項目をどの書面で、誰が、いつ確認しているかです。

Splendor Star の立ち位置

Splendor Star は日本の地接/DMC型のB2B予約プラットフォームです。 運営主体は株式会社KIZUNA(2015年5月設立、東京・日本橋、従業員約50名)、保有する登記は東京都知事登録旅行業 第3-7520号で、番号は会社概要ページに公示しています。

使用場面としては、上の④「認証を取らず手配オペレーションに実装」に近い使い方をしています。ただし当社が保有しているのは旅行業の登録(第3-7520号)であり、JSTS-Dロゴマークの使用承諾、旅行サービス手配業の登録、Green Destinations 等の国際認証は、いずれもこれとは別個の手続きです。第3-7520号はそれらを備えていることを意味しません。 国際認証や自治体の確認・同意が前提になる案件では、該当する資格・承諾を持つ主体から取得していただく必要があります。

FAQ

Q. JSTS-Dは旅行会社が単独で取得できますか? いいえ。民間事業者の申請には、一体となって取り組む地方公共団体等の観光計画等と、その自治体等の確認・同意書(別記第4号様式)が必要です。

Q. 研修はどちらを受ければよいですか? GSTCサステナブルツーリズム研修プログラムの修了か、観光庁ガイドライン研修動画プログラムの受講(確認テストあり)のいずれかです。後者はオンラインで常時受講できます。

Q. 観光庁の研修はどのくらい時間がかかりますか? 研修本体は全33動画で、公式表記の所要時間を単純合算すると471分です。確認テストの結果は受講後およそ2週間以内にメールで通知されます。

Q. ロゴマークを取ったあと毎年何を出しますか? 毎年度末までに、ガイドラインに基づく取組の状況(アセスメントレポート等)を提出します。未提出は使用承諾の取消事由に対応しています。

Q. 担当者が異動したらどうなりますか? 速やかに報告のうえ、変更日から1年以内に新担当職員の修了証または合格証の写しを提出します。研修合格は会社ではなく個人に紐づくため、複数名の受講が安全です。

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Last updated: 2026-10-03